2025年度理事長所信

一般社団法人出雲青年会議所 2025年度 理事長所信
Respect
~ 大切に思うこと ~
山本 仁人
これまでの人生を振り返ると「感謝」という2文字が頭をよぎります。お互いに仕事をしながらも愛情いっぱいにここまで育ててくれた両親、家族への「感謝」。共に学び、時を重ねるごとに成長を続けてきた友人、仲間たちへの「感謝」。数々の別れ道がある節目を導いてくれた先輩諸氏、今、私が存在しているのはこれまで出会った多くの人たちが見守り、側で支えてくれたからです。
私は私を大切にしてくれた縁のあるすべての人に感謝しています。
幼い頃、両親が共働きということもあり、学童保育所へ1年生から6年生まで通う毎日でした。習い事をしたいとわがままを言う自分勝手な自分、両親の仕事の忙しさから習い事ができない現実。そんな中、唯一、両親が休みの土日に習うことができたサッカーと出会いました。そこから私は、サッカーが中心の人生をスタートすることになります。毎日、毎日、夢に向かって挑戦していきました。実力次第でひとつのチャンスが明暗を分ける世界です。何度も何度も努力と挑戦をしてきましたが、進めども壁がたちはだかり、大きな壁を突破することができず挫折をしました。しかし、この繰り返した挫折の日々は私にとって決して悪いものではありません。共通の目的・目標を持ち相手に尽くし、自分のもっている力を貸し借りできる強い絆で結ばれた真の友情をつくることができたからです。3つの県で暮らし色々な環境で、周囲の多くの人が支えてくれました。しかし、それは当たり前なことではありません。私は出会ってきた仲間に感謝と尊敬の気持ちを忘れません。そして、縁がありこの出雲の地で青年会議所に出会いました。住み暮らすまちへの関心が薄かった私ですが、日々運動を展開していく中で、真剣に出雲のことを考える仲間や先輩諸氏の背中を見ることで無関心から情熱に変わり、気づけば、この出雲に愛着が湧き、私にとって、大切なふるさとと言えるようになりました。この出雲をもっともっと良くしたいと強く感じます。
私自身がそうであったように、多くの市民はまちに対して受動的で無関心ではないかと思います。しかし、真剣に出雲のことを考える運動は、無関心を情熱に変えます。情熱は愛着となります。自分が住み暮らすまちに愛着をもつことができる市民を増やすことが、この出雲の発展につながります。先人の道筋をなぞるだけでは、大きなことを成し遂げることはできません。未だ誰も成しえなかったことに挑戦するには勇気と情熱と行動力が必要です。互いを信じて、勇気をもって失敗を恐れず自己研磨に励み、地域を活性化させ、世界とつながる青年会議所運動に邁進してまいりましょう。必要な時に手助けや励ましをくれる親密な関係があることこそが、個人の新たな挑戦や成長を促すことができます。私たちがより良い組織をつくり、次代に襷をつなげることで明るい豊かな社会が実現できます。
近年、急速なテクノロジーの変化や大規模災害の脅威によって、私たちのまちも例外なく新たな課題が顕在化し経済などへの影響が発生しています。しかし、まちを持続的に発展させるにはまちを活性化することが欠かすことのできない条件です。まずは、今このまちに内在する解決すべき課題を改めて見つけ出し、行政、企業、各種団体、教育機関と連携して、どのように地域課題を解決していくか模索する必要があります。持続可能なまちづくりは私たち青年会議所だけでは実現しにくい状況です。しかし、私たちには先輩諸氏の残した大きな財産があります。まちのために共に運動する中で培われたメンバー同士の絆や行政、企業、各種団体、教育機関とのつながりです。情報技術の発達により、人と人とのつながりが希薄化している社会。未来の出雲青年会議所のメンバーがより良い運動を展開していくために、今の私たちはこのつながりをより強くする必要があります。互いに積極的にパートナーシップを構築し連携することで、シナジーを生み出し運動の効果を高めて地域にインパクト与え、共感を生み更なる連携へとつながる好循環をつくることができます。そのためには私たちの運動やパートナーシップを構築することへの理解と共感を促さなければなりません。組織内外におきまして築き上げた私たちの運動を応援してくれる方々との連携をより強固なものとし、援助だけでなく理解、共感される交流を発展させていきましょう。
教育者・哲学者の森信三氏は、「人生二度なし」という言葉を残されました。私たちの人生は一度きりです。こうして過ぎていく今日という日も一度しかありません。今この瞬間も過ぎてしまえば、二度と帰ってくることはありません。人生の一瞬一瞬の大切さを改めて考え、今こそ「ひと」と「まち」に向き合い、青年だからこそできることに挑戦し、行動に移す必要があります。失敗を恐れず同じ志のもと仲間と一緒に新たな時代を創造し、縁のあるすべての人が幸せになるように常に全力を尽してまいりましょう。
具体的政策
① 長期、短期の展望と事業展開について
私たちの住み暮らす地域は伝統文化に溢れ、緑豊かな自然を多く残し住みやすい環境です。しかし、私たちの地域は放っておいても持続、発展していくのでしょうか。急速に変化していく複雑な社会において、新たな課題に常に直面することとなります。そこで出雲青年会議所は2023年から2027年の中期ビジョンを「より良い出雲へ ~あらゆる起点とあれ~」と掲げました。我々、出雲青年会議所が起点となり、地域を発展させていく必要があります。
持続可能な地域とは社会、経済、環境が好循環し次世代に亘って継続できる地域のことです。出雲の良さを保ちつつ発展、展開していくためには市民一人ひとりが地域の課題を自分事と捉え、能動的にまちづくりに参加していただくことです。次世代を担う子供たちに住み良いまちを残すために持続可能なまちを目指し運動を展開してまいりましょう。
② 組織並びに運営について
「次代をつくる人財の開発」
現代の社会において時の流れは非常に早く、変化が短時間で起きています。この時代においても、リーダーは社会の変化をいち早く的確に捉える広い視野をもち、情報を適切に判断し実行に移すことのできる人財でなければなりません。組織力を発揮するためにはメンバー一人ひとりが自身に対する客観的な認識を深め、自らの発信する力や他の言葉を理解する力を養い、主体的に行動できるように導き、周囲を巻き込みながら課題を解決できる力を身につける必要があります。そのためには組織内及びスタッフ間のコミュニケーションを図ることでメンバー同士のつながりを強化することができ、メンバー同士がお互いに心を通わせ、尊敬し感謝することで積極的な交流へとつながる好循環を生み出します。そうして生まれた輪は、メンバーや世代を超えた先輩諸氏への感謝と信頼関係で結ばれたネットワークの構築へと広がります。更には、一人ひとりに強い絆で結ばれた人間関係が形成され、人生に好影響を与えていきます。
「連携がもたらす持続可能なまち」
近年、政治や行政だけであらゆる地域課題に対処するには限界があります。持続可能なまちを実現するためには、市民の意識を変革させる必要があります。地域課題に取り組む方々とつながり、連携する土台をつくることで、より多くの市民を巻き込んだ運動へと発展させることができると考えます。地域の直面している多くの課題に対して、あらゆる分野で連携できる土台があることで、解決方法の幅を広げることができます。出雲青年会議所が実施する事業は様々な組織と連携して行われるべきです。まずは行政、企業、各種団体、教育機関に出雲青年会議所の方針を示し共感を得ます。そして、パートナーシップを組み、事業実施における協力体制を構築します。共感はシナジーを生み出し、運動の効果を高めて地域により大きなインパクト与えます。共感を拡大することで、好循環をつくることができ、私たちは地域貢献し自己研鑽の機会に参画することで自己成長していくことができます。そして、市民を巻き込んだ運動を行うことで自らの地域をつくる行動力のある人財が溢れる地域へとつながり、更なる大きな運動を行うことができるようになります。
「組織のアップデートと持続可能な運営」
組織の軸をもち、目指すべき目的に向けてどう行動を起こすかを考え実践する、組織としてのしなやかな在り方が必要です。社会から信頼され、メンバーが多くの挑戦ができ、成長を続けることができる組織運営をしていかなければなりません。組織とは、個人で作られるものでなく幾つかの物やひとの集まりによって形成されています。志を同じく集う多くの仲間と共に運動することが、私たちの運動を持続的に行っていくことの基礎となり、個人のもっている力を最大限に発揮することが組織力の向上へとつながります。そのために運動へ参加できる土台をつくり、メンバー一人ひとりの個性を積極的に活かすことのできる環境を整え、個々の力を合わせることのできる強固で成長し続けることのできる組織運営をしてまいります。また、私たちの運動を効果的に推し進めていくには、より多くの人を巻き込むことが必要です。新型コロナウイルス感染症により、SNSの活用のみならずオンラインでの新たなアプローチ手段の方法の選択肢が増えました。私たちは各種メディアと連携し更なる幅広い広報媒体を利用し、より多く市民にアプローチを行います。出雲青年会議所の組織運営を見直し効率的でかつ運動の効果を高める組織を構築し、メンバーが積極的に参加できる組織へのアップデートを目指します。
「行政参画意識の向上」
これまで日本では長い間、選挙権は20歳以上にしか認められない権利でした。2016年
6月19 日より、選挙権が20歳以上から18歳以上に引き下げられましたが、やはり、全体を見ても投票率の低さが懸念されています。2025年は、出雲市長選挙、出雲市議会議員一般選挙が行われる年になります。青年会議所は地域の実情やニーズに合わせて検討することで、政治関心層や政治意識向上のアプローチとして市民が参加のできる事業を展開してまいります。また、投票率を向上させることで、市民と行政が連携し、地域社会の発展に寄与していくことで出雲市の明るい豊かな社会の実現を目指してまいります。
「多様性溢れる会員拡大」
私は県外から仕事の関係で島根にIターンしてまいりましたが、入会したことで地域、ひとに触れ、共に運動をしてきたメンバーと意見を交わし友情を深めることができました。今では青年会議所メンバーは私にとってなくてはならない存在です。出雲青年会議所は長きに亘り、地域に多くのリーダーを輩出してまいりました。青年会議所が地域を牽引するためには会員拡大が最大限の自己成長の機会であります。どんなに良い運動を展開していてもそれを伝えることができなければ意味がなく、それをできる場こそ会員拡大であり私たちの成長の場となります。青年会議所は25歳から40歳までの限られた期間でしか運動できません。全員が共通意識をもって、会員拡大に取り組むことで組織だけではなく自己成長にもつながることができます。郷土愛をもった地域のリーダーとなる同志を増やし、地域へ輩出してまいりましょう。
